車検整備で見積もりをとった時に、交換部品を提案されます。
その中でどれが優先順位が高いのか、交換しないとどうなるのかについて解説していきます。
私は国家1級整備士の資格を持っていて、整備士として働いていた経験もありますので、知識や経験をもとに解説していきます。
この記事でわかること
- 車検整備内容の優先順位
- 絶対に交換しないといけないもの
- タイミングが来たら交換するもの
- 交換目安や交換しないとどうなる?
それぞれ部品ごとに解説していきます。
車検整備内容の優先順位
車検整備の中で、頻繁に交換部品として挙げられるものをピックアップしてみました。
- ブレーキパッド
- ヘッドランプ球、ブレーキランプ球などの灯火類
- ボールジョイントやアーム類
- 足回りのブーツ
- ファンベルト類
- タイヤ
- ブレーキオイル(ブレーキフルード)
- オイル類
- バッテリー
- ラジエーター液
- 発煙筒
- ワイパー
上記の部品が主に交換部品として、整備することが多かったです。
部品交換だけでなく、光軸、サイドスリップ、スピードメーター、車高、排ガスなどの検査項目もあります。
しかし、基本的には改造していない車であれば、検査については心配しなくても大丈夫です。
上記の部品が見積もりで上がってきた場合に、どのぐらい交換する必要があるのか3つの緊急性に分けて解説します。
絶対に交換しないといけないもの
車検の見積りを取った時に、以下の部品が含まれていたら絶対に交換してください。
代表的なものを7つピックアップしました。
- ブレーキパッド
- ヘッドランプ球、ブレーキランプ球などの灯火類
- ボールジョイントやアーム類
- 足回りのブーツ
- ファンベルト類
- タイヤ
- ブレーキオイル(ブレーキフルード)
それぞれの部品ごとに、交換の必要性や交換しないとどうなるかについて解説していきます。
ブレーキパッド
その名の通りブレーキの部品です。
ブレーキパッドの残量が少なかったとしても、車検を通すことはできますがブレーキパッドの残量が少なくなると、ブレーキの効きも悪くなります。
検査項目の中に制動力(ブレーキの強さ)の検査があります。
ブレーキパッドの残量が少なくて、ブレーキの効きが悪くなった場合に制動力の検査に合格しない可能性があります。
(実際には、ほとんどありませんが)
交換目安としては残量が2ミリ以下だった場合です。
ブレーキを分解する場合は、分解整備の資格が必要なので知識があったとしても自分で交換するのは危険です。
また分解しないと残量が確認できない車種もあるので、車検の時に提案があれば交換お願いするのがベストです。
交換しないとブレーキが効かなくなる可能性もあるので、必ず交換をしてください。
ヘッドランプ球、ブレーキランプ球などの灯火類
ヘッドランプやブレーキランプの電球が切れていると車検に通ならないので必ず交換が必要です。
ウィンカーやバックランプなど、車の外で光るものは、デイライトなどの一部の部品を除いて必ず交換が必要です。
ただし、ルームランプや、足元のランプの電球が切れていたとしても、車内の電球は車検の検査項目ではありませんので交換しなくても車検に通ります。
車内のランプではメーター周りの警告灯などの電球が切れている場合は検査の対象なので交換が必要です。
自分で変えることもできますが、車種によってはカバーがあったり、分解しないと交換出来ない場合もあるので、交換をお願いすることをお勧めします。
車検時でなくても、ヘッドライトが片方しか使っていなくて対向車がバイクと勘違いして、事故に遭ったケースもありますので、電球が切れていることに気がついたら早急に交換をしてください。
ボールジョイントやアーム類
足回りのボールジョイントやアーム類にガタがあると車検に通りません。
部品名で言えば、タイロットエンドやロアアーム、ドライブシャフトなどが挙げられます。
人間で言うと手首などの関節のような部分です。
走行距離が多い車や、年式が古い車だと交換することがあります。
ガタガタすることに気が付いたら点検もお願いしてください。
例えばタイロッドエンドという部分は、ハンドルを切った時に押し出されてタイヤの向きを変える部品です。
タイロットエンドのボールジョイントが外れてしまった場合、ハンドルを切っても曲がれない状態になるので、めちゃくちゃ危険です。
足回りのブーツ
上記のボールジョイントやアーム類についているゴム部品のことです。
ゴム部品なので経年劣化で硬くなって割れてしまうことがあります。
ブーツが割れてしまうと車検に通らないので必ず交換が必要です。
ブーツにはボールジョイントに、水やゴミが入らないようにする役割があります。
ゴム部品なので、部品代としては安いものが多いですが、ブーツが破れてしまうと、水やゴミがボールジョイントの隙間に入り込んでしまいます。
水やゴミが入ることで錆びてしまったり、固着する(固まってしまう)可能性があるのでブーツには重要な役割があります。
ファンベルト類
ファンベルトもゴム部品なので、経年劣化で割れてきます。
車種によっては交換しやすい車種はありますが、ファンベルトにも種類があり車種専用のものもあってディーラー以外では気軽に変えない部品です。
ファンベルトが劣化していても車検には通りますが、ファンベルトが切れてしまった場合、オーバーヒートや突然エンストしてしまうなど、危険な状態になってしまう可能性があります。
部品だけ購入しようとしても車種によっては、ディーラーでも在庫がないことがあるので、交換を勧められたら必ず交換してください。
タイヤ
車検整備の検査項目の一つで、タイヤの残り溝が1.6mm以下だと車検に通りません。
ほとんどのタイヤメーカーは1.6mmの深さにスリップサインがあるので、1.6mm以下なのかは簡単に分かります。
残り溝だけでなく、タイヤの亀裂やコブなどがあれば必ず交換が必要です。
タイヤは4本分の部品代と交換工賃、タイヤ処分料が必要なので、高額になることが多いのですが高額だからといって交換しなくていいわけではありません。
1.6mm以下になったら交換するのではなく、3mm~4mmで交換をおすすめされるお店がほとんどです。
たとえ1.6mm以上残り溝があったとしても、4mm以上の残り溝がないと雨の日にスリップしやすくなってしまい、めちゃくちゃ危険です。
残り溝が少なくなってきたら、早めに交換をしてください。
ブレーキオイル(ブレーキフルード)
ブレーキを踏んだ時に押し出されるオイルです。
ブレーキオイルやブレーキフルード、ブレーキフリュードと呼ばれることもあります。
ブレーキオイルには吸湿性があり、長年使用していると水分を多く含んでしまい、べーパーロックが発生しやすくなってしまいます。
交換目安としては2年ごとに交換を推奨しているので、ちょうど車検の時期と同じです。
ブレーキに関係する部品なので、必ず交換をしてください。
ベーパーロックについては別の記事で詳しく解説しています。
タイミングが来たら交換するもの
車検整備の見積もりには、今すぐ交換しなくて良いモノもあります。
というのも、自分で交換できる部品やガソリンスタンドでも交換できる部品だからです。
ガソリンを入れに行ったついでに交換してもらうことができるので、車検時ではなくタイミングが来たら交換してください。
代表的なものは以下の5つです。
- オイル類
- バッテリー
- ラジエーター液
- 発煙筒
- ワイパー
車検整備代を安く抑えたい場合には車検時に交換しなくてもいいですが、交換時期になったらお店に行って交換する必要があります。
それぞれの部品の交換時期を把握したり、車検整備以外のときに自分でお店に車を持っていく必要があるので、忘れてしまいそう!めんどくさい!ズボラな性格だ!という方は、車検時に交換してしまうことをオススメします。
オイル類
一言にオイル類といっても、エンジンオイルやミッションオイル、デフオイルなど様々なオイルがあります。
一番管理しやすいのはエンジンオイルです。多くの場合は、ドアを開けたところに何キロの時に交換して、次の交換時期はいつか書いてあるシールを貼っています。
エンジンオイルの場合、基本的には5000kmごと、または半年ごとに交換が目安となっています。
例としてトヨタの場合は、シールではなくハンドル周りのウィンカーレバーや、ワイパーレバーにタグをぶら下げていますので、すべてがシールを貼っているわけでもありません。
運転者としては、そのシールやタグを確認することで交換時期が分かるので、わざわざ車検整備の時に交換しなくても大丈夫な場合もあります。
ボンネットを開けて、自分で汚れを確認することもできます。
バッテリー
一般的には2年~3年程度が交換目安です。
バッテリーが劣化すると溜め込める電力の量が少なくなります。
溜め込める電力の量が少なくなると、エンジンをかけようとしたときに電力が足りない。つまりバッテリー上がりの状態になりやすいです。
バッテリーはエンジンが回っている間、充電されます。
1回の運転時間が短い方やほとんど乗らない方は、充電時間が短くて満充電になかなかならないので2年以内でもバッテリー上がりになることがあります。
逆に1回の運転時間が長いとバッテリーが長持ちすることがあります。
実際に毎日通勤で1時間以上運転していた人で、5年以上問題なく乗ることができました例もあります。
オートバックスやガソリンスタンドでも、バッテリーの弱り具合をチェックしてもらえるので、必ずしも車検時に交換しないといけないわけではありません。
もしエンジンがかかりにくい場合やエンジンがかからないことがあった場合にはバッテリーの劣化が考えられます。
⇒エンジンがかからない?カチカチ音の原因や対策の解説はコチラ
ラジエーター液
冷却水やラジエータ液、不凍液、ロングライフクーラント(LLC)と呼ばれるものです。
LLCにはエンジンを冷やす効果はもちろん、エンジン内部を錆びないようにしたり、マイナスの気温になっても凍らないようにする効果などがあります。
最近ではスーパーLLCというものが入っているので、10万キロまで交換しなくて良い車種が多いです。
なので、車検時にはLLCの交換ではなく添加剤を入れるところもありますね。
ただ、ずっと添加剤だけでいいわけではないので、10万kmなど交換時期になった場合に交換してください。
発煙筒
意外と見落としがちですが、車検整備時に発煙筒の期限が切れていないか点検しています。
助手席の足元にある赤い棒のやつです。
事故などがあったときに、煙と光で後続車に事故を知らせるアイテムですが、何年も前からLED製のものもあります。
LEDだと交換寿命が長いので、長く同じ車に乗るのであれば1本買うとずっと変えなくて良くなります。
発煙筒も期限が来ていなければ、わざわざ変えなくてもいい部品の1つです。
ワイパー
ガソリンスタンドやオートバックスでも交換できます。
雨の日にふき取りが悪いとか、ワイパーゴムがダダダと振動する(ビビる)ような状態でなければ交換しなくても大丈夫です。
雨の日の視界を守るものなので、少しでも見にくいなと感じるのであれば、車検整備時に交換してしまっていいですね。
車検整備【優先順位】交換しないとどうなるの?費用を安くするコツを解説のまとめ
絶対に交換しないといけないもの
- ブレーキパッド
- ヘッドランプ球、ブレーキランプ球などの灯火類
- ボールジョイントやアーム類
- 足回りのブーツ
- ファンベルト類
- タイヤ
- ブレーキオイル(ブレーキフルード)
タイミングが来たら交換するもの
- オイル類
- バッテリー
- ラジエーター液
- 発煙筒
- ワイパー
部品ごとに役割や交換の目安について解説していきました。
なるべき車検整備の費用を安くするためには、交換しなくて良いモノを確認しておきたいですね!
ただし、車検整備の時に交換しなくても、交換時期になったら必ず交換をしてください。
それでも思ったより車検整備費用が高い場合には、車を乗り変えるという方法もあります。
車を乗り変えるためには、今の車を高く買い取ってくれることが重要ですよね!
一括でいろんなところに見積もりを出してくれるサービスがあります。
実際に私も見積もりを利用しましたが、複数に一気に見積もりが取れるので数十万円高く買い取ってもらえたこともあります。
家族にも紹介しましたが、連絡が来た時に売却の意志がないと伝えると、そこから連絡が来ていません。
実際に売却する意志がなくて、一度見積もりに出してみるだけでも大丈夫でしたよ~!