フェード現象とベーパーロック現象の覚え方はどうやって覚えるの??
2つの現象の違いや仕組みが何なのか、それぞれ解説していきます。
フェード現象とベーパーロック現象は、どちらもブレーキが効きにくくなる現象です。
ただ、ご安心いただきたいのが、正しく整備された一般的な車が一般道を走っていてフェード現象やべーパーロック現象になることはありません。
どちらもブレーキに共通しているので覚えにくいのですが、覚え方としては現象の違いや、どんな仕組みで現象が発生するのかを理解すると覚えやすいかと思います。
2つの現象について一級自動車整備士の資格を持つ私が分かりやすくまとめていきます。
この記事でわかること
- フェード現象とベーパーロック現象の覚え方
- フェード現象とベーパーロック現象の違い
- フェード現象とベーパーロック現象の仕組み
今回はフェード現象とべーパーロック現象について解説していきますが、ブレーキの効かない原因はこれら以外にも考えられます。
もしご自身の車に異常を感じた場合は多くのロードサービスを無料で対応してもらえるJAFに相談して近くの工場まで運んでもらう方法もあります。
どのくらいでフェード現象が発生するのかについては以下の記事でも解説しています。
⇒【フェード現象】どのくらいで発生する?前兆は何で対策はどうするのかについてはコチラ
フェード現象とベーパーロック現象の覚え方
フェード現象とベーパーロック現象の覚え方として、どこに原因があるのかを覚えると理解しやすいと思います。
- フェード現象:ブレーキパッド等の過熱
- ベーパーロック現象:ブレーキオイルの沸騰
上記の通り、フェード現象はブレーキパッドや、ブレーキディスク、ドラムブレーキなどのブレーキ部品の熱が高くなることで発生します。
べーパーロック現象は、オイルを押し出す油圧ブレーキで、ブレーキオイル(ブレーキフルード)が沸騰して泡立つことで発生します。
「べーパー」というのは「蒸気」という意味があるので、「べーパー=蒸気」と覚えても分かりやすいかもしれません。
どちらも共通してブレーキが利きにくくなる現象なので、どっちがどっちなのか分からなくなりますね。
次に、それぞれどんな体感がある現象なのか解説していきます。
フェード現象とベーパーロック現象の違い
フェード現象とベーパーロック現象の違いは、運転手の場合に以下の体感があるはずです。
- フェード現象
ブレーキが利きにくい気がする
ブレーキから煙が出る
焦げ臭いにおいがする - べーパーロック現象
ブレーキペダルがスカスカで軽くなる
代表的で体感しやすいものをピックアップしました。
私もサーキットでの限界走行時に体感したことがありますが、特に怖いのがべーパーロック現象現象です。
減速したいのに、ブレーキがアクセルペダルと間違えたのかと思うぐらいスカスカでなかなか止まれないことがありました。
ただし、冒頭でもお伝えしたように、正しく整備された一般的な車が一般道を走っていてフェード現象にもべーパーロック現象にもなることはないのでご安心ください。
なぜ発生しないと言い切れるのかについては、発生する仕組みを理解すると納得いただけると思います!
フェード現象とベーパーロック現象の仕組み
フェード現象とベーパーロック現象の発生する仕組みについて解説していきます。
まずほとんどの車のブレーキは油圧ブレーキというものが採用されています。
油圧ブレーキの作動の流れ
- ブレーキペダルを踏む
- ブレーキオイルが押し出される
- ブレーキパッドが押し出される
- ブレーキディスクにブレーキパッドが押し付けられて減速
ザックリと説明すると上記の流れで、ブレーキを踏んだら減速していきます。
フェード現象とベーパーロック現象は、1~4の流れが上手くいかないのでブレーキが利きにくい状態になります。
更に具体的に、それぞれどのように発生する仕組みになっているのか解説します。
フェード現象発生の仕組み
前述したように、フェード現象はブレーキパッドや、ブレーキディスク、ドラムブレーキなどのブレーキ部品の熱が高くなることで発生します。
ブレーキパッドが高温になることで、熱で分解されガス膜が出来てしまいます。
ブレーキパッドとブレーキディスクの間にガス膜ができたことによって、ブレーキパッドのブレーキ力(制動力)が弱くなります。
つまり、4の「ブレーキディスクにブレーキパッドが押し付けられて減速」が上手くできなくなります。
特に坂道を下っているときなど、ブレーキを多く使う場面で、ブレーキパッドが高温になることで発生します。
ブレーキが高温にならなければ、ブレーキパッドが熱で分解されることがないのでフェード現象は発生しません。
なので一般道走っている場合、ブレーキが高温になりすぎることがないので発生しません。
どのくらいでフェード現象が発生するのかについては以下の記事でも解説しています。
⇒【フェード現象】どのくらいで発生する?前兆は何で対策はどうするのかについてはコチラ
ベーパーロック現象発生の仕組み
ベーパーロック現象は、ブレーキオイルの沸騰することで発生します。
ブレーキオイルは、ブレーキフルード、ブレーキ液などとも呼ばれます。
発生する仕組みとしては、フェード現象と同じくブレーキ周りが高温になりすぎたときに発生します。
なぜブレーキオイルが沸騰するの?
ブレーキオイルの性質として、吸湿性があり水分を取り込んでしまいます。そのため、ブレーキオイルを長く使っていて古くなるとブレーキオイルの中に水分が多くなってしまいます。
水分が多くなると、沸騰する温度の沸点が低くなり、沸騰しやすくなってしまいます。基本的には2年に1回(車検ごとに)交換するように、車屋さんでは説明されていると思います。
交換しないことは基本ないので、車検整備パックにまとめて含まれていることがほとんどです。
前述したように、通常であればブレーキを踏むとブレーキオイルが押し出されます。
しかし、ブレーキ周りが高温になりすぎると、ブレーキオイルが高温になって沸騰する(泡立つ)のでブレーキオイルの中に空気の泡ができてしまいます。
もう一度、おさらいすると以下の流れでブレーキがかかります。
油圧ブレーキの作動の流れ
- ブレーキペダルを踏む
- ブレーキオイルが押し出される
- ブレーキパッドが押し出される
- ブレーキディスクにブレーキパッドが押し付けられて減速
ブレーキオイルの中に空気の泡ができてしまうと本来なら、ブレーキオイルが押し出されるはずが、泡立った空気が押し潰されるだけになってしまいます。
つまり、上記の3番の「ブレーキパッドを押し出される」がうまく機能しません。
3番が機能しないと、4番も機能しないのでブレーキが効かなくなります。
ただし、フェード現象と同じく一般道走っている場合、ブレーキが高温になりすぎることがないのでベーパーロック現象は発生しません。
坂道を下っているときなど、ブレーキを多く使う場面では発生する可能性があります。
しかし、ブレーキが効きが弱くなる原因としては、フェード現象やベーパーロック現象以外にも考えられます。
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レンタカーにも使えるところも注目したいですね。
フェード現象とベーパーロック現象【覚え方】違いは何?仕組みを解説のまとめ
- フェード現象とベーパーロック現象の覚え方
⇒フェード現象:ブレーキパッド等の過熱
⇒ベーパーロック現象:ブレーキオイルの沸騰 - フェード現象とベーパーロック現象の違い
⇒フェード現象
ブレーキが利きにくい気がする
ブレーキから煙が出る
焦げ臭いにおいがする
⇒べーパーロック現象
ブレーキペダルがスカスカで軽くなる - フェード現象とベーパーロック現象の仕組み
⇒フェード現象:ブレーキパッドとブレーキディスクの間にガス膜ができてブレーキ力(制動力)が弱くなる
⇒ベーパーロック現象:ブレーキオイルが泡立って、ブレーキオイルが押し出されない
フェード現象とベーパーロック現象は、どちらもブレーキ関連の現象なので、どっちがどっちかわからなくなりやすいです。
二つの現象の違いや、現象の発生する仕組みを理解することで、覚えやすくなると思います。
参考になりましたら幸いです。
どのくらいでフェード現象が発生するのかについては以下の記事でも解説しています。
⇒【フェード現象】どのくらいで発生する?前兆は何で対策はどうするのかについてはコチラ